福居ショウジンの秘蔵小説

二九一号室ノ住人

プロローグ

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身元不明の少女 Ⅰ

1 / 2 / 3 / 4 / 5

身元不明の少女 Ⅱ

1 / 2 / 3 / 4

身元不明の少女 Ⅲ

1 / 2 / 3

弥生

1 / 2 / 3 / 4 / 5

291号室

1 / 2 / 3 / 4 / 5
6 / 7 / 8 / 9

第二の事件

1 / 2 / 3 / 4 / 5
6 / 7

リプレイ

1 / 2 / 3

見殺し

1 / 2 / 3 / 4 / 5

再捜査

1 / 2 / 3 / 4 / 5

生霊

1 / 2 / 3 / 4 / 5
6 / 7

協力者

1 / 2 / 3 / 4 / 5
6 / 7 / 8 / 9 / 10
11 / 12 / 13 / 14 / 15

潜伏

1 / 2 / 3 / 4 / 5
6 / 7 / 8 / 9

果て無き興亡

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6 / 7 / 8 / 9

再捜査 Ⅱ

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6 / 7 / 8 / 9 / 10

エピローグ

1

協力者 Vol.7

悪い予感は当たり、中年のおばちゃんは渡辺の隣に座り、高峰だと名乗った。緊迫している状況下では余りにも頼りなさすぎる。化粧気の無い黒ずんだ顔と、殆ど手入れがされていない白髪まじりの黒髪、時代を無視したような色あせたワンピ-スとダウンジャケットに違和感を覚えてしまう。第一、典型的な小太り体型からは緊張感の欠片も感じられない。高峰は座席に着くなり、源三を興味深げに眺めた。

「甘利からあんたの事は聞かされてた。ところで、こっちは?」

高峰は清美を訝しげに見つめた。

「今回の件で協力してもらっている中川清美です」

源三が紹介したにも拘らず、清美の顔をジロジロと嫌な目付きで暫く眺めていた高峰は、「ああ、あんたデカさんか」と言い放った。それには二人供、驚かされた。高峰は初めて会った清美の素性が解かるらしい。外見からくる印象と違って、何らかの能力を兼ね備えた人物かもしれない。源三は咄嗟に抱いたイメ-ジを払拭した。清美はそうでもないらしく、相変わらず疑いの目を向けている。つい最近、ニュ-スで自分の顔写真が流れているからだ。ニュ-スを見て、事前に知っていたとも考えられる。

「あんた達、どえらいもんに関わったね。ミチエの生霊は生半可なもんじゃ無いよ」

「生霊って、随分、現実離れしたこと言いますね」

高峰に対して悪い印象を持ったままの清美は、食って掛かった。高峰が冷ややかな眼差しを清美に向けた。

「言葉に惑わされていたら、真実は見えて来ないよ。ミチエは特殊能力の持主なんだ。解かりやすく言ってやると、自分の意志を乗り移らせて相手を乗っ取ってしまう。舞と恵が面会に行った時から、それは始まった。だけど居心地が悪かったんだろうよ。二人の能力が、それ程大したもんじゃ無かったんだ。ミチエは舞と恵を操って、居心地の良い人間を捜し始めた。つまり、能力者をだ。舞は私達のセミナ-を選んだ。ここには能力者が集まるからね。恵が源三を選んだのは、ミチエと一緒に居るあんたの女房から情報を読み取ったんだ」

高峰は源三の鼻先に指を突き出した。清美が唖然とした顔をして源三を見た。無神経に女房の事を暴露された源三は、不快感を露にした。

「女房は関係無いやろ!そしたら、あれか?恵は俺が目的で会いに来たんか」

「そういう事。だが、失敗した」

「ちょっと待ってよ。失敗したって、どういう意味?」

清美の引き攣った声が、高峰の癇に触ったらしい。

「人の話は最後まで聞きな。恵は既にこの世には居ないって事だ」

これには清美が驚きの声を上げた。身元不明の少女が恵だとは公表されていない。自分達しか知らないはずだ。如何して高峰が知っているのか?

「舞に乗り移ったミチエは、恐らく甘利をマ-クしていたんだろう。甘利にも特別な能力があったからね。まあ、私から言わせれば、大したものじゃ無かったけどな。ともかく、舞は、三人が面会にに行ったのを察知して、自分の秘密を知る者達を消しに掛かったんだ。特に甘利は、ミチエの肉体は抜け殻で、舞に乗り移っていた事実に気が付いていたからね。そしてついには、法子と甘利を殺害した」

「俺も殺されそうになったんや。そしたら、俺のすぐ近くに舞は来とったんか?」

「あんたの力が及ばない遠隔で、仕掛けて来たんだ。接近すれば、恵の二の舞だからね。一方で、舞が現われた日のセミナ-に参加していた会員達が、どうもおかしな事になってるんだ。今、それを追跡中だが・・・・・」

高峰がテ-ブルの上に、くしゃくしゃになったコピ-用紙を拡げた。ざっと見て、50名程の氏名と住所、電話番号が印字されている。

「つまり、こういう事だ。舞にはミチエを許容出来るだけの強力な能力は無い。仮の宿だ。フィットする完全な力を持った者を、捜し回っているんだよ。そうすれば、ミチエの力は強大になるからね」

清美は話を聞きながら、何気無しにリストの氏名欄を目で追っていた。いきなり視点が固定され、コピ-用紙を拾い上げると同時に叫び声を上げた。

「ウソ-、何で丸尾君が!弥生ちゃんの名前まである。一体、これは・・・・・・」

Vol.8へつづく

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